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警察官の階級は巡査から始まり、巡査部長、警部補、警部、警視、といった形でピラミッド構造を形成しています。
この階級制度は、役職ごとに求められる能力や責任の範囲が異なることから非常に重要な役割を果たしています。
令和7年度、警察庁が「都道府県警察官昇任基準要綱」を改正し、各都道府県警察が昇任制度の目的達成に向けて要綱の範囲内で柔軟に対応することを求めることが明文化されました。
各都道府県警察の運用実態を踏まえたこの改正は、警察官一人ひとりのキャリア形成にも少なからず影響を与えそうです。
簡単に各昇任制を紹介します。
3つの昇任ルート
1.選抜昇任制

上記対象者のうち、学歴、年齢等にかかわりなく各専門分野における“スペシャリスト”であるとともに、“幹部適性”も併せ持つ者を試験によることなく上位階級に登用する制度。
基準は、例えば、人事評価で3年連続「A」、実務能力で「S」などを満たした者が対象となるなどかなり厳しく、年度によっては合格者ゼロの可能性もあります。
昇任者は、原則として昇任前に所属していた部門と同一の部門へ配置されます。
2.試験昇任制 (一番身近な昇任制度)

上記受験資格者のうち、勤務成績が優良であり、法学、実務に関する択一式問題、論文、面接、逮捕術などの実技試験に合格した者が対象です。実力を“見える化”することができる制度です。
「一般試験」は広く幹部に登用することを目的とし、昇任者は年齢、適性等を勘案して適材適所を旨として配置されます。
「専門試験」は高い専門性を持つ者向けで、昇任者は可能な限り昇任前に所属していた部門と同一の部門へ配置されます。
今回の改訂では「一般試験」における受験資格者の在級年数を都道府県警察によって最大1年の範囲で短縮・延長可能とすることが明文化されました。
また、短大・高専卒の区分が削除されましたが、在学年数によって受験資格を調整することができます。
3.選考昇任制

上記対象者のうち、勤務成績の優良な者。その豊富な職務経験による知識、技能を組織内で有効に活用するため、試験によることなく上位階級に登用する制度。
昇任者は、年齢、経験及び適性等を勘案して適材適所を旨として配置されます。
今回の改正により巡査部長昇任対象者が40歳程度以上から36歳以上に引き下げられました。
まとめ
人材の機会均等と組織運営を両立させるため、都道府県警察の裁量を拡大させた今回の改正ですが、時代が進むスピードが更に速くなることが確実視される中で、今後も地域性や働き方の多様性などを考慮した様々な改正が行われることが予想されます。